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2018年6月15日 (金)

雫井脩介「望み」(角川書店)

評価3

 ネタバレあり。
 石川一登は建築デザイナーで、妻貴代美、高校生の息子規士、中学生の娘雅とともに暮らす。
 サッカー選手を目指していた規士は、けがが元でサッカーを諦め、外泊を繰り返すようになった。
 規士が帰ってこないある日、乗り捨てられた車から高校生の遺体が見つかる。被害者は規士の友人だった。車からは2人が逃走した。しかし、被害者の友人3人が行方不明になっているという。とすると、殺害された被害者はもう1人いるのではないか―。
 一登は、規士が人を傷つけることはないと信じ、被害者である可能性を考えるが、貴代美は、一登が仕事を失うことを悲観して規士の死を願っていると非難する。
 加害者の少年2人が逮捕され、もう一体、遺体が見つかった。果たしてそれは―。
 規士が、一登に取り上げられたナイフをこっそりと持ち出した上で、机の引き出しにしのばせていた意味とは…。

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湊かなえ「山女日記」(幻冬舎文庫)

評価3

 8編から成る連作短編集。登場人物が一部、重なっている。また「山女日記」というウェブサイトが出てくるのも共通項。

「妙高山」
 百貨店に勤める律子は婚約者との結婚に迷いながら初めて山に登る。同僚と3人で行く予定だったが、舞子は急きょ行けなくなり、あまり気の合わない由美と2人で登ることに。由美は部長と不倫しており、律子は軽蔑。雰囲気が悪くなるが、由美の意外な側面を知らされる。

「火打山」
 バブルの雰囲気が残っているといわれる40代の美津子は、自治体主催のお見合いパーティーで出会った「神崎さん」と火打山に登る。神崎は美津子にいろいろ気を使う一方で、山の知識を披露。しかし実は美津子は学生時代、山の経験が豊富で、社会人になってから「バブルにのみこまれて」山をやめた女性だった。美津子は山で元の自分を取り戻す。

「槍ヶ岳」
 子どもの頃から父に連れられ、登山をしてきた女性が主人公。1人で山に登るのが好きだ。槍ヶ岳に登る途中で、初老の男性と女性に出会う。男性は登山経験が豊富だが、女性は初心者で、夫への意地から、男性と主人公についてくる。ペースを乱されるのを嫌う主人公だが、子どもの頃、父親が自分のペースに合わせてくれていたことに気づき、自分の未熟さを恥じる。

「利尻山」
 希美は姉から利尻山への同行を誘われる。希美の家族は希美が子どもの頃からイベントがあるたびに雨に降られており、今回も雨にたたられた。希美は35歳だが、定職もなく、結婚もせず、父の年金で暮らし、姉から見下されていると感じている。今回の登山で、姉から説教を受けると思っていたが、人けの少ない山中で、姉は夫から離婚を迫られていることを打ち明ける。希美は父と暮らす実家に、娘の七花と帰ってくることもできると提案する。

「白馬岳」
 希美の姉が主人公。「私」は希美と七花と白馬岳に来た。夫から離婚を切り出された状態だが、希美の思いやりと七花の成長ぶりに触れる。

「金時山」
「妙高山」の律子らと、妙高山に行けなくなった舞子の物語。大学まで日本一を目指し、バレーに打ち込んできた舞子は夢を果たせないまま負傷し百貨店に就職。心機一転、いろんなことに挑戦する。その過程で劇団員の大輔と出会い、交際。日本一の富士山に登りたいというと、大輔はなぜか舞子を金時山に連れて行った。大輔は自分の過去を明かし、自分もまた「再スタート中」であることを告げる。

「トンガリロ」
 柚月は旅行会社に就職した2年目、ニューカレドニア支社に派遣される。つきあっていた「吉田くん」とは遠距離恋愛になったが、ニュージーランドで落ち合い、2人で旅行した。
 それから14年、帽子屋になった柚月は1人でツアーに参加し、ニュージーランドに来た。吉田くんとは別れたが、吉田くんと訪れたのと同じ場所に来た柚月は当時を回想しつつ、新しい一歩を踏み出そうかと思い始める。

「カラフェスに行こう」
 「利尻山」「白馬岳」に出てきた希美が主人公。友達がほしくなり、「山女日記」のクマゴロウさんの書き込みに触発されてカラフェスに1人ででかける。そこで、クマゴロウに実際に出会い、意気投合する。

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2018年6月 1日 (金)

佐々木譲「真夏の雷管」(角川春樹事務所)

評価3

 佐伯警部補、新宮巡査、津久井巡査部長、小島巡査部長が活躍する北海道警シリーズ第8弾。いつもながら、彼らの友情、チームプレイによって事件が解決するストーリーは心地よい。機動捜査隊の長正寺班長が「部下にやらせるわけにはいかない」と、自ら危険な任務に就く姿もすがすがしい。
 こうした良質な警察小説が、道警や全国の警察官の刺激になればいいと思う。まぁ、現実は小説のようにはいかないでしょうが。

 以下、ネタバレあり。
 北海道警大通署盗犯係の佐伯は、札幌の園芸店で、爆弾の製造にも使える硝酸アンモニウムが盗まれた事件を追う。一方、少年係の小島百合は、工具を万引した男子小学生、大樹を追う。
 硝酸アンモニウム事件では、JR北海道の検査データ改ざん事件で解雇された梶本が浮上。育児ネグレクトされている大樹と、数日間、キャンピングカーで生活を共にしていることが分かった。
 札幌近郊の山中で爆弾の試験とみられる爆発が発生。大樹が解放され、佐伯らは、梶本がJR北海道を狙った爆発事件をすぐにも起こすと考える。
 折しも、アイドルが北海道新幹線や特急を乗り継いで札幌に来るイベントの当日。道警は梶本と爆弾を捜す。
 小島は大樹と接触するが、梶本に共感する大樹は梶本の狙いを明かそうとしない。
 佐伯らは、アイドルの乗る特急の隣のホームに着く列車に爆弾が仕掛けられたことに気づく。小島の必死の説得で大樹も協力する。

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2018年5月 6日 (日)

大崎善生「いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件」(KADOKAWA)

評価4

 ミステリーではありません。

 2007年8月、名古屋市で起きた31歳の女性、磯谷利恵さん殺害事件を巡るノンフィクション。事件の残虐性もさることながら、3人組の犯人が、事件のわずか数日前に携帯電話の闇サイト「闇の職業安定所」で知り合ったばかりだったことも社会に衝撃を与えた。

 磯谷さんの母親らからの丹念な取材を基に、母親の幼少期にまでさかのぼって、利恵さんの来歴を紹介。殺される理由など何もなかった利恵さんの無念さが伝わってくる。
 死を覚悟した利恵さんが、1人で自分を育ててくれた母に家を買ってあげるためにためた貯金を守り抜こうと、犯人たちに教えたキャッシュカードの嘘の暗証番号に秘めたメッセージとは。

 犯人の死刑を求める署名は30万人以上に上ったという。死刑制度には賛否両論、それぞれ説得力があるが、死刑を求め続けた母親の思いにはあらがいがたいものがある。

 被害者側の母娘、恋人らについて詳細に描かれる一方で、犯人たちについての記述は薄い。筆者が書きたかったこととは違うかもしれないが、犯人らの来歴も記述があれば、さらに深みが増したと思う。

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2018年5月 4日 (金)

柚月裕子「最後の証人」(宝島社文庫)

評価3

 このブログでも取り上げた「検事の本懐」で検事だった佐方貞人が弁護士に転身した後の物語。

 面白かったのだが、私の好きでない叙述トリック系なのが残念。
 とはいえ、弁護士が依頼人の被告をある意味、裏切りながら、無罪を導くという奇想天外な展開はスリリングだった。

 裁判の証人が、尋問で、声を出さずにうなずいただけで何も注意を受けないとか(紙で残す記録に反映できないため回答する場合は声に出させるのが普通)、証人が知り得ない事実を検事が質問して意見を求めるなど、実際の裁判ではあり得ない展開が興ざめ。

 以下、ネタバレ注意。
 佐方に、事件の被告人から弁護の依頼がある(この依頼人について読者は誤認させられる)。ホテルの一室で、殺人事件があり、不倫の末の別れ話のもつれとみられたが…
 7年前に小学5年の男児が交通事故で死亡する事故が発生。はねた建設会社社長島津は公安委員長を務めており、警察や検察の配慮からか、起訴されなかった。事件は、一人息子を失った夫婦の復讐劇だった。

 校閲ミスなどが散見され、これも残念。
 193ページ「島津の下に行かせていいのか」と198ページ「島津の許へ行かせたくもなかった」。同じ意味なのに「下」と「許」が混在している。
 261ページ「島津被告人は危険運転致死傷罪に問われるべきだった、ということですね」と、事故をおこした車の運転をしていたのが島津だと法廷で、証人の前で言っておきながら、262ページで「その運転手の名前を教えてください」「島津邦明です」というやりとりが同じ証人との間であり、「法廷内が騒然とする」のはおかしい。
 宝島社の書籍には校閲ミスが多い。いい作品が台無しなので作家に対しても失礼だろう。

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2018年2月15日 (木)

湊かなえ「リバース」(講談社)

評価3

 人間ドラマとして楽しめる。最後の最後で、友人の本当の死因が明らかになるオチはなくても、良い物語だと思う。

 以下、ネタバレあり。
 深瀬和久は大学4年のとき、ゼミの友人らと旅行に出かけた際に、結果的に友人広沢に飲酒運転をさせ、事故死させた。
 深瀬の趣味はコーヒー。勤務後に通うコーヒー店で美穂子と知り合い、交際する。ある日、美穂子は「深瀬は人殺しだ」とのメッセージが届いたと言い、深瀬は事故の話を打ち明け、疎遠になる。事故当時、一緒にいた友人らの周囲にも同様のメッセージが届く。
 深瀬は広沢の両親やかつての同級生らに話を聞いて回り、卒業アルバムも入手する。広沢には恋人がいたことが判明する。

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2018年2月11日 (日)

吉田修一「犯罪小説集」

評価2

 五編から成る短編小説集。実際に起きた事件を題材に、事件の背景、犯人や関係者の心情などを描く。
 これで終わり?といった結末ばかりで、トリックが見破られたり、何らかの真相が明らかになったりするミステリーではない。個人的にはその点ががっかり。

 以下、ネタバレあり。

 それぞれ、実際に起きた「栃木県今市市の小一女児殺害事件」「首都圏連続不審死事件」「大王製紙横領事件」「山口県周南市金峰で起きた5人殺害放火事件」「ロッテの小川博元選手の強盗殺人事件」(清原和博元選手の覚醒剤事件との説も)に取材したらしい。

「青田Y字路」(あおたのわいじろ)
 小学生女児が行方不明になり、10年が経過。またしても別の女児が行方不明になる。外国人の母を持ち、差別されてきた青年が疑われる。

「曼珠姫午睡」(まんじゅひめのごすい)
 小中学校が同じだった女性ゆう子が50歳を目前に殺人事件の容疑者として逮捕された。英里子は友人らのフェイスブックや報道で、ゆう子の人生を追う。

「百家楽餓鬼」(ばからがき)
 大手運送会社の御曹司がバカラにはまる。

「万屋善次郎」(よろずやぜんじろう)
 閉鎖的な村で、長老格の男性とささいなことから険悪な関係になってしまった男性は、狂気にかられ、大量殺人を犯す。

「白球白蛇伝」(はっきゅうはくじゃでん)
 プロ野球選手として一時成功したものの、けがで引退した男。派手な生活を続けるが、長続きするはずもなく、ファンだった男性の経営する会社で雇ってもらうが、給料の前借りを続けた上、断られ、罪を犯す。

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柚月裕子「臨床真理」(宝島社)

評価3

 2008年の「このミス」大賞受賞作。知的障害者施設を舞台にした陰惨な事件がテーマだが、途中でだいたいの流れは分かってしまう。

 以下、ネタバレあり。

 知的障害者施設で少女、彩が自殺とみられる死を遂げた。親しかった入所者の藤木司は、施設代表の安藤に殺されたと訴える。臨床心理士の美帆は、司を担当。言葉の色が見えるという司の能力を信じて、彩の「自殺」を調べる。

 友人の警官から、同施設から特定の企業への就職者が多いとの情報を得て、施設の少女たちが関係者との性行為を強要されていた証拠を入手するが、彩に関しての証拠だけが出てこない。
 彩が残したUSBメモリーのデータを解読すると、彩の相手は意外な人物だった。

 校閲ミスが散見されるのが非常に残念。以下に挙げたほかにも恐らくあるでしょう。宝島社はしっかりしてほしい!

 177ページ「栗原は少女をどこかで、たしかに会っているのだ。」→「少女と」

 309ページ「カッターの刃が、薄暗い風呂場鈍く光る。」→「風呂場に」

 319ページ「どこにメス入れれば骨を断てるかは知っている。」→「メスを」

 325ページ「深い自愛に満ちた目で美帆を見た。」→「慈愛」

2018年1月 7日 (日)

柚月裕子「検事の本懐」 (宝島社文庫 )

評価4

 地方勤務の若い検事、佐方貞人を主人公とする5編から成る連作短編集。「事件をまっとうに捜査するだけ」という佐方の真摯な捜査姿勢に打たれる。読み進めるうちに、佐方のルーツが浮かび上がってくる。
 ただ、佐方の周りの警察官や検察上層部の捜査があまりに杜撰で、佐方のすごさというよりは、周囲のアホさ加減が引き立ってしまう。

「樹を見る」
 連続放火事件の容疑者が逮捕されたが、容疑者は、犠牲者が出た一件だけは犯行を否認。佐方は独自に捜査し、この一件だけは別の犯人の犯行であることを見破る。

「罪を押す」
 出所したばかりの男が腕時計を盗んだとして逮捕された。男は自供しているが、佐方は、男の息子の手紙から、えん罪を疑う。

「恩を返す」
 高校時代の同級生だった女性から佐方に12年ぶりに連絡があった。警察官に脅迫されているという。佐方は郷里の広島に戻り、悪徳警察官と対峙する。佐方の子ども時代、高校生時代が明かされる一編。

「拳を握る」
 佐方は、東京地検特捜部の疑獄捜査の応援に駆り出される。上層部の意向とは違った捜査結果を提出し、担当を外されるが、正しい見立てを進言。上層部の手柄として捜査は結実する。

「本懐を知る」
 横領で投獄され、死亡した佐方の父を巡る真相が明らかになる。佐方の父は、かつて恩を受けた建設会社社長の死後、その遺産を横領した罪で実刑判決を受け、獄中で死亡した。起訴猶予か執行猶予に持ち込むことは可能だったにもかかわらず、裁判で一切、弁明しなかった。その理由とは。

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2017年12月30日 (土)

中町信「模倣の殺意」(創元推理文庫)

評価2

 江戸川乱歩賞の最終選考まで残った1970年代の作品。
 どういうこっちゃと楽しく読んでいった。「探偵が犯人」という言葉がなんどか出てきたが、読み進めても、それはないだろと思っていたら! 叙述トリックでがっかり。あり得ない偶然。

 関係者が、警察官でもない人に、他人のプライバシーを話しすぎるのが不自然。今とは時代が違うとはいえ、お客さんのことをべらべらと話す旅館の女将とか部屋係って…

 以下、ネタバレあり。
 新進作家、坂井正夫が自宅で死亡しているのが見つかった。死因は青酸カリ。警察は自殺として処理したが、婚約者の中田秋子は、坂井の家に出入りし、坂井に多額の現金を渡していた遠賀野律子を疑い、調べる。一方、坂井と同人誌をつくっていた作家、津久見は、坂井の作品が、亡くなった大作家が数年前に発表した作品の盗作だとの疑惑を知らされる。津久見は、坂井によって自殺に追い込まれた妹を持つ雑誌編集者、柳沢を疑う。
 
 中田は律子のアリバイを調べるが、そのさなかに律子は事故死する。また、津久見は柳沢のアリバイを崩すが、柳沢は犯行を否認する。一方で、坂井の作品を盗作していたのは大作家の方だったことを明かす。
 この先を書くと、ネタバレの本質部分に近づいてしまうので書きません。
 
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