サイト内検索


  • ウェブ全体から検索
    ココログ全体から検索
    中南米と山とミステリー内検索
2018年7月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        
無料ブログはココログ

2018年7月 9日 (月)

東野圭吾「マスカレード・ナイト」(集英社)

評価4

 ホテル・コルテシア東京の山岸尚美と、警視庁刑事、新田浩介のシリーズ第三作。
 映画になりそうな華やかな展開だが、最終盤で真相が関係者の供述スタイルであっさり語られてしまうのは、なんか肩すかし。
 
 以下、ネタバレあり。
 1人暮らしの若い女性和泉春菜が殺害されているのが見つかった。匿名の情報がきっかけだった。
 さらに匿名の情報で、犯人が大晦日に、コルテシア東京で開かれる仮装パーティーに参加することが警察側に伝えられた。
 新田らが潜入捜査を開始する。
 癖のある宿泊客が次々と訪れる。犯人は誰なのか。
 単なる殺人事件でなく、それをネタに犯人をゆするグループがあり、その仲間うちの裏切りもあり、スリリングな展開だが、そもそもの殺人事件の犯人がかなり変わった性質(外見など)の異常な人物で、リアリティという点では不満も残った。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

マスカレード・ナイト (マスカレード) [ 東野 圭吾 ]
価格:1782円(税込、送料無料) (2018/7/9時点)


有栖川有栖「狩人の悪夢」(角川書店)

評価4

 犯罪臨床学者火村と有栖川のシリーズ。

 以下、ネタバレあり。
 ホラー作家、白布施の自宅のそばの空き家で、沖田依子という女性が殺害された。沖田はかつて白布施の助手を務め2年前になくなった渡瀬信也の知人。渡瀬がかつて住んでいた白布施所有の住宅を訪ねて、そこで一泊する予定だった。右手が切り取られ、行方がわからなくなっていた。首を矢で刺され、現場には血染めの手形が残されていた。
 沖田の元交際相手、大泉が捜査線上に浮上するが、大泉は、近くの空き家の地下収納庫で遺体で見つかる。左手がなくなっていた。
 落雷のため、木が倒れ、現場は車が通れない時間帯だった。
 渡瀬は高校生のとき、母親に暴力を振るう父親を殺害した過去があった。当時の姓は「母恋」といい、ネットなどで名前が拡散した。
 沖田と渡瀬は高校の同級生だったが、卒業後、交流があった事実が判明する。目撃情報によると、沖田は渡瀬宅で何かを探しているようだったという。
 沖田と渡瀬のメールのやりとりが手がかりになって、火村たちは、動機につながる犯人の秘密にたどり着く。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

狩人の悪夢 [ 有栖川 有栖 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2018/7/9時点)



2018年6月25日 (月)

吉田修一「怒り」(上・下、中公文庫)

評価5

 信じたいがゆえに疑念を口にしてしまう。信じ切ることの難しさをミステリー仕立てで描く。
 犯行の動機は最後まで明らかにならず、ミステリーというよりも、人間ドラマとして読まれるものだろう。 

 以下、ネタバレあり。
 東京で夫婦が惨殺され、現場に「怒」という血文字が残された。山神一也という男が指名手配される。
 読者には、3人の男が山神の可能性がある人物として提示される。
 東京でゲイの会社員と出会った直人、沖縄の離島に現れた田中、千葉の漁協で働く田代。
 整形手術を受けて逃亡している山神は誰なのか。
 直人、田中、田代はそれぞれの地で、交流を深め、周囲の信頼を得る。
 しかし、山神の手配写真などが出回ると、周囲に疑心暗鬼が生まれる。
 耐えきれなくなった周囲の人らが疑念を口にすることで、山神でない二人は、信じてもらえなかった無念さを抱えて行方をくらます。
 そして山神を追う刑事もまた、ある女性を信じたいと思っていた。
 
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

怒り(上) (中公文庫) [ 吉田修一 ]
価格:648円(税込、送料無料) (2018/6/25時点)


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

怒り(下) (中公文庫) [ 吉田修一 ]
価格:648円(税込、送料無料) (2018/6/25時点)




2018年6月23日 (土)

芦沢央「許されようとは思いません」(新潮社)

評価4

 嫌ミス5編から成る短編集。この作家の作品を読むのは初めてだったが、かなり楽しめた。

 以下、ネタバレあり。
「許されようとは思いません」
 村八分にされていた祖母の納骨のため、村を訪れた諒。祖母は、村八分の原因をつくった曾祖父(夫の父)を殺害して、その後、病死した。諒の恋人は経緯を聞き、なぜ、余命幾ばくもなかった曽祖父を祖母があえて殺害したのかなどと疑問を指摘する。祖母は自らも余命もわずかだったことを知っていたのではないか。祖母があえて「村十分」になる殺人を犯した意味とは。

「目撃者はいなかった」
 修哉は書類の書き違いで余分に発注してしまた資材を自らが受け取り、隠蔽しようとするが、その場で、交通事故を目撃する。自分が目撃した事実とは異なる方向へ捜査が進んでいることがわかるが、名乗り出ることはできない。信号無視を疑われ死亡した犠牲者の妻が修哉を訪れるが、修哉は証言を拒否する。刑事がやってきて事故と同じ日にあった火事について尋ねる。火災現場の近くで修哉を見たとの目撃証言があるという。

「ありがとう、ばあば」
 9歳の孫の杏を子役にした祖母の「わたし」は、厳寒のロケ地のホテルで杏にベランダに閉め出される。杏を子役として成功させるために努力してきたが、それが杏の重荷になっていたのか。本当は杏は子役になることなど望んでいなかったのか。「ばあばが死んでくれたら…」。ラストで杏が動機を語る。

「姉のように」
事件を起こした姉。「私」は周囲の目が気になり、自らも事件を起こしてしまう。

「絵の中の男」
 両親らが殺された事件や、一人息子の焼死をモチーフに高い評価を得てきた女流画家。画廊から派遣された家政婦は、画家が夫を刺し殺す場面を目撃する。しかし、それは本当に殺人事件だったのか。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

許されようとは思いません [ 芦沢央 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2018/6/23時点)


清武英利「石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの」(講談社)

 評価5

 ミステリーではありません。
 2001年に発覚した外務省職員の横領・詐欺事件の捜査に当たった警視庁捜査2課の捜査員らを描くノンフィクション。
 本来税金である「領収書のいらない金」のずさんな取り扱いに驚かざるを得ない。
 筆者は元読売新聞記者。後にプロ野球巨人球団に関わったが解雇された人物として知られる。

 以下、ネタバレあり。
 外務省のノンキャリア職員がマンションに愛人を住まわせ、多数の競走馬を所有していた。個人の口座には億単位の金が入出金され、預け入れは現金が多い。
 出入り業者からのたれ込みを基に銀行などを回る二課刑事の地道な捜査が始まった。
 金の出元は厚いベールに覆われた外務省や内閣官房の機密費だった。
 総理の外遊の際に、ホテルのレターヘッド付きの便せんに自らが金額を書き込んで、領収書のように見せかけ、機密費を引き出していた。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

石つぶて 警視庁 二課刑事の残したもの [ 清武 英利 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2018/6/23時点)



2018年6月15日 (金)

雫井脩介「望み」(角川書店)

評価3

 ネタバレあり。
 石川一登は建築デザイナーで、妻貴代美、高校生の息子規士、中学生の娘雅とともに暮らす。
 サッカー選手を目指していた規士は、けがが元でサッカーを諦め、外泊を繰り返すようになった。
 規士が帰ってこないある日、乗り捨てられた車から高校生の遺体が見つかる。被害者は規士の友人だった。車からは2人が逃走した。しかし、被害者の友人3人が行方不明になっているという。とすると、殺害された被害者はもう1人いるのではないか―。
 一登は、規士が人を傷つけることはないと信じ、被害者である可能性を考えるが、貴代美は、一登が仕事を失うことを悲観して規士の死を願っていると非難する。
 加害者の少年2人が逮捕され、もう一体、遺体が見つかった。果たしてそれは―。
 規士が、一登に取り上げられたナイフをこっそりと持ち出した上で、机の引き出しにしのばせていた意味とは…。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

望み [ 雫井 脩介 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2018/6/15時点)



湊かなえ「山女日記」(幻冬舎文庫)

評価3

 8編から成る連作短編集。登場人物が一部、重なっている。また「山女日記」というウェブサイトが出てくるのも共通項。

「妙高山」
 百貨店に勤める律子は婚約者との結婚に迷いながら初めて山に登る。同僚と3人で行く予定だったが、舞子は急きょ行けなくなり、あまり気の合わない由美と2人で登ることに。由美は部長と不倫しており、律子は軽蔑。雰囲気が悪くなるが、由美の意外な側面を知らされる。

「火打山」
 バブルの雰囲気が残っているといわれる40代の美津子は、自治体主催のお見合いパーティーで出会った「神崎さん」と火打山に登る。神崎は美津子にいろいろ気を使う一方で、山の知識を披露。しかし実は美津子は学生時代、山の経験が豊富で、社会人になってから「バブルにのみこまれて」山をやめた女性だった。美津子は山で元の自分を取り戻す。

「槍ヶ岳」
 子どもの頃から父に連れられ、登山をしてきた女性が主人公。1人で山に登るのが好きだ。槍ヶ岳に登る途中で、初老の男性と女性に出会う。男性は登山経験が豊富だが、女性は初心者で、夫への意地から、男性と主人公についてくる。ペースを乱されるのを嫌う主人公だが、子どもの頃、父親が自分のペースに合わせてくれていたことに気づき、自分の未熟さを恥じる。

「利尻山」
 希美は姉から利尻山への同行を誘われる。希美の家族は希美が子どもの頃からイベントがあるたびに雨に降られており、今回も雨にたたられた。希美は35歳だが、定職もなく、結婚もせず、父の年金で暮らし、姉から見下されていると感じている。今回の登山で、姉から説教を受けると思っていたが、人けの少ない山中で、姉は夫から離婚を迫られていることを打ち明ける。希美は父と暮らす実家に、娘の七花と帰ってくることもできると提案する。

「白馬岳」
 希美の姉が主人公。「私」は希美と七花と白馬岳に来た。夫から離婚を切り出された状態だが、希美の思いやりと七花の成長ぶりに触れる。

「金時山」
「妙高山」の律子らと、妙高山に行けなくなった舞子の物語。大学まで日本一を目指し、バレーに打ち込んできた舞子は夢を果たせないまま負傷し百貨店に就職。心機一転、いろんなことに挑戦する。その過程で劇団員の大輔と出会い、交際。日本一の富士山に登りたいというと、大輔はなぜか舞子を金時山に連れて行った。大輔は自分の過去を明かし、自分もまた「再スタート中」であることを告げる。

「トンガリロ」
 柚月は旅行会社に就職した2年目、ニューカレドニア支社に派遣される。つきあっていた「吉田くん」とは遠距離恋愛になったが、ニュージーランドで落ち合い、2人で旅行した。
 それから14年、帽子屋になった柚月は1人でツアーに参加し、ニュージーランドに来た。吉田くんとは別れたが、吉田くんと訪れたのと同じ場所に来た柚月は当時を回想しつつ、新しい一歩を踏み出そうかと思い始める。

「カラフェスに行こう」
 「利尻山」「白馬岳」に出てきた希美が主人公。友達がほしくなり、「山女日記」のクマゴロウさんの書き込みに触発されてカラフェスに1人ででかける。そこで、クマゴロウに実際に出会い、意気投合する。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

山女日記 (幻冬舎文庫) [ 湊かなえ ]
価格:702円(税込、送料無料) (2018/6/15時点)


2018年6月 1日 (金)

佐々木譲「真夏の雷管」(角川春樹事務所)

評価3

 佐伯警部補、新宮巡査、津久井巡査部長、小島巡査部長が活躍する北海道警シリーズ第8弾。いつもながら、彼らの友情、チームプレイによって事件が解決するストーリーは心地よい。機動捜査隊の長正寺班長が「部下にやらせるわけにはいかない」と、自ら危険な任務に就く姿もすがすがしい。
 こうした良質な警察小説が、道警や全国の警察官の刺激になればいいと思う。まぁ、現実は小説のようにはいかないでしょうが。

 以下、ネタバレあり。
 北海道警大通署盗犯係の佐伯は、札幌の園芸店で、爆弾の製造にも使える硝酸アンモニウムが盗まれた事件を追う。一方、少年係の小島百合は、工具を万引した男子小学生、大樹を追う。
 硝酸アンモニウム事件では、JR北海道の検査データ改ざん事件で解雇された梶本が浮上。育児ネグレクトされている大樹と、数日間、キャンピングカーで生活を共にしていることが分かった。
 札幌近郊の山中で爆弾の試験とみられる爆発が発生。大樹が解放され、佐伯らは、梶本がJR北海道を狙った爆発事件をすぐにも起こすと考える。
 折しも、アイドルが北海道新幹線や特急を乗り継いで札幌に来るイベントの当日。道警は梶本と爆弾を捜す。
 小島は大樹と接触するが、梶本に共感する大樹は梶本の狙いを明かそうとしない。
 佐伯らは、アイドルの乗る特急の隣のホームに着く列車に爆弾が仕掛けられたことに気づく。小島の必死の説得で大樹も協力する。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

真夏の雷管 道警・大通警察署 [ 佐々木譲 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2018/2/17時点)


2018年5月 6日 (日)

大崎善生「いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件」(KADOKAWA)

評価4

 ミステリーではありません。

 2007年8月、名古屋市で起きた31歳の女性、磯谷利恵さん殺害事件を巡るノンフィクション。事件の残虐性もさることながら、3人組の犯人が、事件のわずか数日前に携帯電話の闇サイト「闇の職業安定所」で知り合ったばかりだったことも社会に衝撃を与えた。

 磯谷さんの母親らからの丹念な取材を基に、母親の幼少期にまでさかのぼって、利恵さんの来歴を紹介。殺される理由など何もなかった利恵さんの無念さが伝わってくる。
 死を覚悟した利恵さんが、1人で自分を育ててくれた母に家を買ってあげるためにためた貯金を守り抜こうと、犯人たちに教えたキャッシュカードの嘘の暗証番号に秘めたメッセージとは。

 犯人の死刑を求める署名は30万人以上に上ったという。死刑制度には賛否両論、それぞれ説得力があるが、死刑を求め続けた母親の思いにはあらがいがたいものがある。

 被害者側の母娘、恋人らについて詳細に描かれる一方で、犯人たちについての記述は薄い。筆者が書きたかったこととは違うかもしれないが、犯人らの来歴も記述があれば、さらに深みが増したと思う。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

いつかの夏 名古屋闇サイト殺人事件 [ 大崎 善生 ]
価格:1728円(税込、送料無料) (2018/2/11時点)



 

2018年5月 4日 (金)

柚月裕子「最後の証人」(宝島社文庫)

評価3

 このブログでも取り上げた「検事の本懐」で検事だった佐方貞人が弁護士に転身した後の物語。

 面白かったのだが、私の好きでない叙述トリック系なのが残念。
 とはいえ、弁護士が依頼人の被告をある意味、裏切りながら、無罪を導くという奇想天外な展開はスリリングだった。

 裁判の証人が、尋問で、声を出さずにうなずいただけで何も注意を受けないとか(紙で残す記録に反映できないため回答する場合は声に出させるのが普通)、証人が知り得ない事実を検事が質問して意見を求めるなど、実際の裁判ではあり得ない展開が興ざめ。

 以下、ネタバレ注意。
 佐方に、事件の被告人から弁護の依頼がある(この依頼人について読者は誤認させられる)。ホテルの一室で、殺人事件があり、不倫の末の別れ話のもつれとみられたが…
 7年前に小学5年の男児が交通事故で死亡する事故が発生。はねた建設会社社長島津は公安委員長を務めており、警察や検察の配慮からか、起訴されなかった。事件は、一人息子を失った夫婦の復讐劇だった。

 校閲ミスなどが散見され、これも残念。
 193ページ「島津の下に行かせていいのか」と198ページ「島津の許へ行かせたくもなかった」。同じ意味なのに「下」と「許」が混在している。
 261ページ「島津被告人は危険運転致死傷罪に問われるべきだった、ということですね」と、事故をおこした車の運転をしていたのが島津だと法廷で、証人の前で言っておきながら、262ページで「その運転手の名前を教えてください」「島津邦明です」というやりとりが同じ証人との間であり、「法廷内が騒然とする」のはおかしい。
 宝島社の書籍には校閲ミスが多い。いい作品が台無しなので作家に対しても失礼だろう。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

最後の証人 (宝島社文庫) [ 柚月裕子 ]
価格:637円(税込、送料無料) (2018/4/20時点)

 

«湊かなえ「リバース」(講談社)