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2011年9月17日 (土)

高野和明「ジェノサイド」(角川書店)

評価5。600ページのスケールの大きいSFエンターテインメント。

 現生人類をはるかにしのぐ知性を持った新しい人間がコンゴ民主共和国に生まれた。「ヌース」と名付けられたその新しい人間は、「ヒトの共食いを糾弾する別種の知性」。現生人類の敵になると見る米政権はその抹殺を図るが、ヌースは現生人類の良心を試すかのように行動する。 

 難病の息子のために金を稼ぐ必要からコンゴでのヌース殺害任務を受けた傭兵イエーガー。亡くなったばかりのウイルス学者の父親から届いたメールで、難病の薬の開発を命じられた薬学の大学院生、古賀研人。たぐいまれな知性を持ち、米政府中枢に入りながら、権力者を冷めた目で見つめ、良心を捨てない青年ルーベンス。物語は主にこの3人の視点から進行する。

 「人間だけが同種間の大量殺戮(ジェノサイド)を行う」。「人間は、自分も異人種も同じ生物種であると認識することができない。肌の色や国籍、宗教、 場合によっては地域社会は家族といった狭い分類の中に身を置いて、それこそが自分であると認識する。多の集団に属している個体は、警戒しなければならない別種の存在なのだ」

 筆者は、ヌースと人類の関わりを描きながら、われわれ「大量殺戮(ジェノサイド)を行なうヒト」のどうしようもない愚かしさを突いてくる。 

 しかし、われわれは同時に「助け合うヒト」でもあるのではないか、というルーベンスの最後の言葉に、著者の希望がのぞく。

 いい作品に出会ったと思う。

 高野和明は2001年、「13階段」で江戸川乱歩賞。それ以来、たいていの作品に目を通しているが、「ジェノサイド」で大きく、脱皮したと思う。なお、同作は2011年の直木賞候補だったが、惜しくも受賞を逃した。

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