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« 映画「シッコ」(2007年米国、マイケル・ムーア監督) | トップページ | 浜岡究「はじめてのポルトガル語」(講談社現代新書) »

2011年9月22日 (木)

湊かなえ「往復書簡」(幻冬舎)

評価3

 全て書簡形式の中編3作。登場人物はばらばら。

 (1)高校の放送部で一緒だった男女7人。そのうち浩一と静香が結婚したのを機に、千秋の負傷や、浩一と千秋の別れ、千秋の失踪を悦子が調べ始める、という展開。最後まで、どんな結末になるのかとおもしろく読んでいたのに、最後の手紙で愕然。この結末はあり得ない。がっかり。 

(2)大場は、小学校時代の恩師の女性から、別の小学校の教え子6人が幸せに暮らしているかどうか調べるよう頼まれる。6人は当時、恩師とその夫とピクニックに行き、事故に遭っていた。その事故で夫が死亡しており、6人は、その思い出をその後の人生に生かしたり、責任を感じたりしていた。大場は、5人の話を聞いているうちに自分の人生について考えるようになる。そして6人目。なぜ、恩師が大場にこんな調査を命じたのかが、わかってくる。恩師自身がもっとも苦しい思いをした事故を蒸し返してまで、教え子に幸せになってもらおうとしていたのだ。佳作。

(3)国際協力で数学を教えるために発展途上国に渡った純一。恋人の万里子とは中学生からのつきあい。2人の往復書簡は、クラスメート2人のイジメ暴力事件や、万里子が命を落としそうになった火事の真相に迫っていく。火事の時に意識を失っていた万里子が手紙などを通じて記憶を取り戻していくが、その万里子を徹底的にかばおうとする純一の優しさが美しい。三編の中ではもっとも良い作品だと思う。

 しかし…。以下、ネタバレありなのでご注意。

 火事では同級生一人が死んでいるのだが、事件当時は火事で死亡したということで事件処理されているようだ。しかし、往復書簡によって明らかになった真相によれば、火災発生前に死んでいたことになる。だが、同級生を死に至らしめた外傷を警察が見逃すわけはない(偽装工作はしたようだが)。さらに、火災で死んだとすれば、ボクサーのようなポーズになったり、気道熱傷を起こしたり、煙を吸い込んだりするのに対し、死んだ後に焼けた場合にはこのような症状は現れない。そういうことを考えると、この物語は成立しない。

 非常にいい話なのに、リアリティーがないことによって、だめになってしまっている。残念。

 もう一ついうと、結末で万里子が純一を訪ねていく、と思われる場面があるが、万里子の最後の手紙からは、こうした行動をとる万里子の心情がうかがえない。唐突感におそわれる。

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» 「往復書簡」湊かなえ [粋な提案]
あれは本当に事故だったのだと、私に納得させてください。高校卒業以来十年ぶりに放送部の同級生が集まった地元での結婚式。女子四人のうち一人だけ欠けた千秋は、行方不明だという。そこには五年前の「事故」...... [続きを読む]

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