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2011年11月 5日 (土)

薬丸岳「刑事のまなざし」(講談社)

評価4

 東池袋署の夏目信人刑事が事件を解決する7編の短編集。夏目は少年鑑別所の元法務技官。物語が進むに連れ、夏目がどうして刑事に転職したのかが分かってくる。物語が夏目の視点から描かれず、夏目の人物像が事件関係者や周辺の人物から描かれるのが特徴的。

 以下、ぼかして書いているつもりですが、ネタバレ注意。

「オムライス」 看護師の前田恵子の内縁の夫英明が放火で死亡。犯人の狙いは実は別のところに。母であること、女であること。「女の情念」を描く、といったら大げさか。短編だからかもしれないが人物描写も単純すぎて、謎解きも今ひとつぱっとしない印象。

「黒い履歴」小出伸一は少年時代に、両親の死後、姉と自分を引き取ったおじの木村を殺害したとして少年院に入った。それから10年。近所の男が殺された。小出は少年院時代に出会った夏目と再会。やがて、男が小学生の娘を虐待していたことが判明し、姉が失踪する。虐待を許せない姉と、姉をかばおうとする弟。夏目は10年前の事件の真相も知ることになる。

「ハートレス」松下雅之は息子を交通事故で亡くし、妻とも別れ、ホームレスになった。傷害致死の前科があるホームレス仲間が殺される。別のホームレスが犯行を自供するがその動機は…。

「傷痕」東池袋署管内のマンションで、美人局などをしていた男が死んでいるのが見つかり、警察は傷害致死とみて捜査。現場付近で池袋東高校の制服を着た女子生徒が目撃されていた。不登校の有香が疑われる。学校でカウンセラーをする田辺久美子は、リストカットを繰り返す有香の面倒を親身に見ていた。高校に現れた夏目刑事は久美子の大学院時代の同級生だった。やがて有香は犯行を自供するが、夏目は、本当のことを話すことが償いになるとさとす。有香がリストカットを繰り返すようになったきっかけとされる痴漢事件が、今回の事件につながっていた。

「プライド」マンションの一室で女性が絞殺された。妻子ある男と不倫関係にあったことがわかり、事件当日もこの男が部屋を訪れていたことが判明するが、男は犯行を否定する。夏目は男を女性に紹介した女性の友人に関心を寄せる。

「休日」中二の息子隆太の素行がおかしいのに気付いた吉沢は高校時代からの親友夏目に相談する。2人は隆太を尾行する。隆太の出していたSOSに夏目が気付き、吉沢にヒントを与える。

「刑事のまなざし」聖治は中学時代の同窓会に出席して、過去におこした事件について太田に脅され、妻の恭子を差し出すよう要求される。やがて太田が絞殺されているのが太田の自宅で見つかる。素行の悪かった少年時代の聖治の担当を務めたのが鑑別所に勤務していた夏目だった。夏目の娘をハンマーで殴って植物状態にした犯人が明らかになる。夏目は犯人に涙を流させるが、「世の中からすべての犯罪がなくならない限り敵討ちにはならない」として刑事を続ける覚悟を表明する。

 薬丸岳ならではの、犯罪被害者へのやさしい目線、互いにかばい合う優しさが心地よい。そして加害者になってしまった者にも…。「オムライス」だけはちょっと違うような気がするが、薬丸らしい作品集だと思う。

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