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2013年1月 3日 (木)

薬丸岳「逃走」(講談社)

評価3

 小沢祐輔はラーメン屋の主人秋山を暴行の末、死なせてしまう。小沢は自ら救急車を呼び、秋山の自宅に指紋を残すなど、自らの犯行の痕跡を残すが、「やることがある」として出頭はしない。小沢の犯行であることは最初から明らかで、この小説の謎解きは動機である。

 薬丸岳らしく、罪を犯してしまった者へのやさしいまなざしにあふれる作品。兄妹の互いへの思いやり、小沢を追う武藤刑事の人柄もいい。だが、初期の作品のような重量感に欠けるのは否めない。

 以下、ネタバレあり。

 小沢は妹の美恵子と児童養護施設で育った。その背景には21年前に母親が起こした保険金殺人事件がある。

 母親と秋山の関係、小沢と秋山の関係、保険金殺人事件の真相、小沢と美恵子との関係などが終盤に進むにつれて明らかになるが、最後に小沢が母親に会って聞きたかったことの一つ「あなたは事件の共犯なのか」は、あっさり肯定されてしまって、この点に関しては小沢のせっかくの逃走は空回り。ほかにも、逃走を続けなくてもいずれ警察が調べれば分かるようなこともあり、結果的に、この逃走がもたらしたものは実質的にあまりなかったのではないか。

 もちろん妹への愛情ゆえの逃走なので、空回りでも無駄といってはいけないのかもしれないけど、逃走によって得られる真実が、兄妹の絆だけ、というのはちょっと弱かったような気がする。

 

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» 「逃走」薬丸岳 [粋な提案]
早期解決を確実視された殺人事件。容疑者の若者は何のために逃げ続けるのか? 驚愕と感動のラストが待つ、乱歩賞作家による逃亡劇。 閉店後のラーメン店で、店主が何者かに暴行され死亡した。通報により駆けつけた救急隊員に、「約束を守れなくてすまない」と声を振り絞り、被害者は息絶える。通報した若者を容疑者として始まった捜査は、早期解決が確実視されていたはずだった……。 児童擁護施設で育ち、成人後も...... [続きを読む]

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