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« 映画「ブラック・ブレッド」(2010年、スペイン、フランス) | トップページ | 湊かなえ「母性」(新潮社) »

2013年4月17日 (水)

天童荒太「歓喜の仔」(上・下、幻冬舎)

評価4

 誠、正二、香の3兄妹の暗く陰惨な生活が描かれるが、最後は、ハッピーエンドとはいえないものの、家族の絆という希望が示される。

 父親は多額の借金の保証人になり失踪。借金取りに追い詰められた母親は、事故で、意識はあるものの、体を動かすことも離すこともできなくなった。
 長男誠は、借金を返しながら家族を養うために、弟の正二とともに覚醒剤のパケをつくるなど、懸命に働くが、世界のどこかの占領地の少年リートを空想の中でつくりだし、自分と重ね合わせる。
 正二は寝たきりの母親の世話を自ら引き受けるが、もともと色彩感覚が豊かで絵が得意だったのに、色を認識できなくなった。
 保育園児の香は、においを認識できなくなり、一方で、この世に思いを残した死者たちの姿が見え、会話もできる。

 学校でのいじめ、不法滞在の外国人、行政に見捨てられた居住区、暴力団内部の裏切り行為。ここで描かれるのは日本社会の底辺だ。物語は両親の子ども時代、出会い、結婚、出産にまでさかのぼり、重みを増す。

 誠は、暴力団内部の裏切り行為に荷担させられそうになるが、ぎりぎりのところで思いとどまる。裏切りを指示した暴力団員からは逃走するよう勧められるが、誠が選んだ道は…。

 最後に、誠が歌を取り戻し、正二が色を、香がにおいを取り戻す場面は、かすかな希望を感じさせる。

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