サイト内検索


  • ウェブ全体から検索
    ココログ全体から検索
    中南米と山とミステリー内検索
2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    
無料ブログはココログ

« 貴志祐介「雀蜂」(角川ホラー文庫) | トップページ | 奥田英朗「イン・ザ・プール」(文春文庫) »

2015年2月21日 (土)

米澤 穂信「満願」(新潮社)

評価3

第27回山本周五郎賞受賞
2015年版「このミステリーがすごい! 」第1位
2014年「週刊文春ミステリーベスト10」 第1位
2015年版「ミステリーが読みたい! 」 第1位

 と、評判はよく、確かにおもしろいのだが、期待したほどではなかった。

 短編6作から成る。ミステリー、ホラー、湊かなえっぽい作品など、ごちゃまぜで、あまり統一感はない。それぞれに飽きさせない展開で、また同様の作品群があったら読みたいと思うが、これぞ、という作品はないように思う。

 また、「関守」のストーリーは破綻していると思う。日本の警察がこの事故、というか事件の真相に何年も気づかないはずはない。

 以下、ネタバレ注意。

「夜警」

 交番勤務の「俺」は新人の川藤を迎え入れた。川藤は警官に向いていないと判断したが、過去に部下を死なせてしまった経験から、川藤にそれを伝えられないでいた。ある晩、家庭内暴力の被害者として警戒対象だった女性から助けを求める通報があり、川藤らと駆け付けると、女性の夫が刃物で女性を殺害しようとしていた。川藤は夫に発砲。殺害するが、自らも刃物で殺されてします。川藤は銃が好きだったというが、それでいち早く銃を抜いたのか。川藤が発砲した理由は、その日の昼間に、交番前の道路工事現場で誘導員が倒れた”事故”と密接に関わり合っていた。

「死人宿」

 2年前に失踪した恋人、佐和子は山奥の温泉宿で仲居として働いていた。火山ガスの噴出で自殺者が後を絶たない宿というが、「私」は泊まることにする。2年間に苦しんでいた佐和子を助けられなかった「私」は佐和子にわびるが、佐和子は脱衣場で見つかったという遺書を見せ、助ける気持ちがあるか問う。「私」は推理を働かせて客の中から遺書を書いた人物を見つけ、自殺を食い止めるが…


「柘榴」

 さおりは生まれ持った美貌で、大学時代に女性に人気のある成海を射止め、父の反対を押し切って結婚した。しかし、成海は卒業後も定職につかず、家を空けることが多くなった。さおりは事実上、1人で2人の娘、夕子と月子を中学生まで育てたが、離婚を決意する。成海は2人の親権を要求する。当然、さおりの親権が認められると思っていたが、家裁は成海の親権を認める。母親に対するのと違う愛を成海に感じるようになった夕子が月子を誘ってさおりを陥れたのだ。しかし、この計画の背後には、月子に対する夕子の別の謀略もあった。

「万灯」

 バングラデシュでの天然ガス開発を任された商社マンの「私」は、ある村に開発にあたっての拠点をつくる必要に迫られた。しかし、その村の幹部の一人アラムがどうしても認めない。別の幹部らは、村の利益にもなると賛成し、「私」とライバル会社の森下にアラムの殺害を求める。「私」は森下のジープでアラムをひく。事件直後、森下は会社を辞め、日本に戻った。「私」は口封じのため、森下を殺害。山中に埋めるが、森下が伝染病にかかっていたことが判明。日本中が感染源の男性として森下を捜し始める。そして「私」も発症していた。


「関守」

 フリーライターの「俺」は都市伝説の記事を求められ、ある峠で事故が多発しているという、先輩からもらったネタの取材に峠を訪れた。その手前で立ち寄った古びたドライブインには老婆がおり、過去4件の事故の当事者をいずれも知っていた。事故に関連性を持たせるためには4件に共通項がほしいと考えていたところ、老婆の話で4件が結びついた。しかし、その頃には「俺」は眠くて眠くて…


「満願」

 弁護士の「私」は、学生のころ下宿していた家の奥さん、妙子の弁護を務めた。妙子は夫に金を貸していた貸金業者の男を殺害したのだ。妙子が実家から持ってきた家宝の掛け軸の表装の部分に血しぶきがついていたことを指摘して、計画的な犯行なら掛け軸はしまっていたはずだとして、「私」は偶発的な犯行だと主張。懲役8年の判決が出た。控訴したものの、妙子の夫が病死し、保険金が手に入ることになり、残りの借金に返済のめどがたったとたん、妙子は控訴を取り下げた。それから5年。「私」は別の結論に達していた。犯行のあった部屋にあった達磨の背にも血しぶきがあった。妙子は達磨の「目」を恐れたのではないか。それは計画的な犯行だったことを意味する。ではなぜ、大切な掛け軸はしまっておかなかったのか。妙子が守りたかったものとは。


« 貴志祐介「雀蜂」(角川ホラー文庫) | トップページ | 奥田英朗「イン・ザ・プール」(文春文庫) »

ミステリーが好き」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 貴志祐介「雀蜂」(角川ホラー文庫) | トップページ | 奥田英朗「イン・ザ・プール」(文春文庫) »