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2015年3月20日 (金)

麻耶雄嵩「神様ゲーム」(講談社ノベルス)

評価3

 非現実的なミステリーはあまり趣味ではないが、ここで出てくる「神様」は主眼となる事件の発生自体にはかかわっておらず、事件自体が超現実的な手段で起きているわけではないので、そこは気にならなかった。

 むしろ気になったのは、登場人物たちの会話。物語は小学4年生の独白スタイルで進むのだが、この少年(および友人たち)の語彙が豊富なこと、知識が豊富なこと。とても小学4年生の会話とは思えないリアリティーのなさ。

 ほかに、全体の構成に影響を与えるものではないが、細かいところで文章の論理構成に疑問を感じるところがいくつかあった。

 最後の驚きの展開で物語は終わるため、事件自体の真相は謎のまま。すっきりしない終幕となる。そこらへんも私としてはあまり好きなタイプの作品ではない。

 結局、そもそも鈴木は本当に「神様」で真相を知っているのか、あるいはただ単に情報収集や推理、偶然の結果として「神様」面をしているだけなのか、という問題になる。
 しかし、天誅を加えてくれと頼んだ直後に、主人公の周囲の人間が2人、異様な死に方をしたり、主人公の出生の秘密まで知っている(まあ、これも当てずっぽうの嘘と偶然の重なりと言えないこともないが)ことを考えれば、鈴木は「神様」だと考えざるを得ないのではないか。と、自分なりに論理的に考えた結論が、登場人物は「神様」でした、というのでは、あまりに非現実的だということはわかっているのだが、それは冒頭で触れたように、殺人事件の本質とは無関係なので、よしとしよう。

 いずれにしても、作者は明確な回答を出さずに読者を煙にまいて、「後は自分で考えて」。作者としては犯行の経緯、物語の中で出てくるさまざまな出来事や「神様」とされる鈴木の言動について、論理立てて説明できるのかもしれないが、「小説家というのは作品外で作品の真相を明かしたりしないもの」という盾に守られて、本当は自分なりの回答も用意していないのではないかと疑ってしまう。

 なんだかんだとけちをつけましたが、それでも、全体として楽しめる作品であることは間違いなかった。
 

 以下、ネタバレ注意

 「僕」は神降市の小学4年生。転校生の鈴木は自称「神様」で、同市で起きた連続猫殺し事件の犯人を名指しする。「僕」は、鈴木がゲームを仕掛けていると思い、それに乗る。「僕」たちがつくる探偵団はその犯人について調べ、情報を警察に伝える。間もなく、探偵団の本部として使っていた廃墟「鬼婆屋敷」の密室状況下で同級生の死体を発見する。「僕」が「神様」に、犯人に天誅を加えてくれと頼むと、探偵団のメンバーの女子が奇妙な死に方をする。しかし、その女子はどうやって密室を作り上げたのか。「僕」の推理は共犯者にたどり着き、再び「神様」に天誅を頼むのだが、「僕」の目の前で死んだのは別人だった…

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