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2016年10月24日 (月)

米沢穂信「真実の10メートル手前」(東京創元社)

評価4

 「王とサーカス」の主役であるジャーナリスト大刀洗万智が冷静な観察力、判断力、推理により、事件の真相に迫る6編の短編集。
 表題作は、大刀洗がフリー記者になっている「王とサーカス」より前の新聞記者時代の物語。その他5編は「王とサーカス」後の物語。だと思う。
 大刀洗は、推理者としてだけでなく、ジャーナリストとして自分がどうあるべきかを考える姿勢を忘れない。

・真実の10メートル手前
 破産した企業の社長の妹の居場所を、大刀洗が電話の発言内容から推理する。

・正義漢
 大刀洗は、ホームから男性が転落して電車に引かれて死ぬ事件に遭遇。男性が車内で騒いでいたことから、事故ではなく、事件だと判断。犯人をおびき出す奇策を弄する。

・恋累心中
 高校生の心中事件。なぜ彼らは、長く苦しむ毒をのんだのか。大刀洗が事件直後に学校関係者2人に簡単にアポを入れてしまうのは極めて不自然。

・名を刻む死
 孤独死した老人。第1発見者の中学生は彼の死を予感していた。

・ナイフを失われた思い出の中に
 姉の娘を刺したと自供した少年。彼の手記が公になる。大刀洗はそこに隠されたメッセージを読み取り、凶器などを発見する。

・綱渡りの成功例
 豪雨で取り残された老夫婦。コーンフレークを食べて生き延びたというが、台風一過の酷暑の中、彼らはどうやって牛乳を入手したのか。



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